最近の夜は気温が低めで心地良くて、近所に流れている妙正寺川沿いを歩きたくなる。しかし帰宅すると疲れを感じてしまい、それきり外に出るのが億劫になるのでまだ夜歩きはしていない。妙正寺川は西へ神田川に合流する放水路のような殺風景な川なので、普段はほとんど水は流れておらず、風情は全くないのだが、いつも静かで小綺麗に整備された見通しの良い道なので、僕はそこに沿って歩くのが好きだ。

 

妙正寺川沿いは夜になると何匹もの野良猫に出会える。以前自転車で川沿いを散歩したとき、たくさんの猫があちこちで現れて轢いてしまいそうになり怖かった。野良と言っても周辺に住む人が飯をやっているようで、町猫といった具合でそれなりに可愛がられ皆元気で暮らしているようだ。

 

この町は住宅街の中を歩けば毎日一度は猫に会える。飼い猫でも野良猫でもよく寝ていたり歩いていたり盛っていたり、窓を開けるとそこにいたりして非常に身近な存在である。ここに限らず東京ならどこの町でも同じように見られる光景であるのかもしれないが、それが僕には珍しい。

 

千葉と北海道で暮らしていた僕だが、例えば北海道は寒くて生き延びることが出来ないから野良猫など当然見かけないし、千葉の実家周辺でも全くいないわけではないが、今住んでいる町に比べたらなぜか見かける機会が少なかったんだろうか。たまたま出会ったことを覚えていないだけで、自然が身近で暖かい町ならどこでも一緒なのか。

 

野良猫は害獣として大変嫌われることも多い。僕はまだそんな被害にあっていないからこんなことが言えるのだが、町のそこかしこに猫がいるというのはなんだか楽しく思えるし、自分は能天気な奴だなと思う。出会った猫たちには毎度お願いして出来る限り写真を撮らせてもらっている。

 

僕はもともと犬の方が大好きなのだけれど、一方でルドルフとイッパイアッテナとか、三丁目のタマとか、猫にまつわるお話も大好きなので、猫を飼いたいという願望もある。犬とは違う、野良猫の自力で生活を送っている様を見るのが楽しい。野良猫の背にカメラをつけてみたらどんなだろう、というのはよく妄想するが、もしかしたらすでにやっている人がいそうだな。猫を飼ったら勝手に外をぶらついて夜になったら帰ってくるようなヤツに育ててみたい。