黄金時間

夕方は凄まじい嵐で、あと少し帰るのが遅れていたら干していた洗濯物が全滅するところだったので助かった。家について10分ほどしてから、急激に雷が近くなったのが、光と音の間隔でわかった。

 

雷は今まで何度も聞いてきたけれど、今日ほどのものは初めてだった。ひっきりなしに光と音が炸裂していて、昔大好きだったゲーム、スーパーマリオワールドクッパ城の演出にそっくりだった。雷を怖いと思ったことは無いが、もしかしたら落ちるかも、と少し不安になって家電のコンセントを抜き、電気を消してベッドに横たわりながらYouTubeで検索した恐怖映像を眺めていた。それでも雨の音がものすごいのが気になって、少し窓を開けて隣家の屋根に激しく当たる雨粒をしばらく眺めていた。豪雨は街が洗い流されて行く感じを覚えるのが大好きで、きっと長靴や雨合羽を持っていたら外に出ていたかもしれなかった。結局雷は3、4回ほどどこかに落ちた音がしたが僕の家には特に異常はなかったので安心した。

 

雨が止むとつかの間ゴールデン・アワーがやってきたので、外に出て商店街の方へ歩いた。さっきまでめまいがするほどの暑さだったのに、雨が過ぎたあとははっきりと冷えたのがわかって驚いた。湿度は高かったが汗もほとんどかかず、空気が綺麗になっているようで気持ちよかった。一昨日地面に落ちて死んでいて、車に潰されてしまった何かのひな鳥の跡は、豪雨ですっかり洗い流されていた。

 

歩いている途中しきりに南の空が光っていて、上を向いて歩きながら雲の間を稲妻が走って行くのを眺めていた。こういう光景は多分初めて目にするものだった。雷鳴はずっと遠くなって、ほとんど聞こえなくなっていた。帰り道、19時を回って空が真っ暗になっても、時折閃光が走って雲の形がくっきり浮かぶほど明るくなる瞬間があった。雷は綺麗だなと、ただそれだけ思った。