新居の話

 もう一年近く、どこかに新しい住処が見つかればいいなと思いつつ暮らしてきたが、絶妙なタイミングでこんなお話が舞い込んできた。

 最近起こった大きな出来事の中で、長年切れていた縁が復活した人からの提案なのだが、その人の持家がずっと空室になっていて、今後空けっ放しにしておくのもなんだから格安で住まないか、というものである。

 まだ細かい段取りを決めている訳ではないのだが、僕自身は多分この提案を受ける気がしていて、そうすると新しい住処は五反田になる。しかし今まで通過こそすれ、自分にはほぼ無縁の街であって一切眼中になかったので、そこに住んでいる絵などまるで想像がつかない。ひとまず近日中にその人と会って話を煮詰めていくつもりなのだが、こういうのもやはり何かの縁であるし、逃す手はないとさえ思っている。本当は引っ越すなら西武沿線だろうなとある程度見当をつけていた折、まさかこんな展開があるとは思わなかった。

 

 変化の波に乗ることは、刺激があって楽しい一方、大いに体力を使う。特に生活の基盤である家を移るなど引きこもり体質の自分には一大事であり、億劫極まりない。今の街に住み始めてもう少しで5年、いつかは離れるかもしれない、でもずっとここに居たいと思い続けてきたし、多少不便で、家賃が高いのを差し引いてもなお余るほどこの街が大好きなので、その時が来ればやはり寂しくなるのだろう。とはいえまだ何も具体的なことは決まっていないので、とりあえずこんな話がありました、程度で書き留めておく。